前兆に沿って生きる。名著《アルケミスト》に学ぶ引き寄せの法則のすべて

パウロ・コエーリョという人の書いた『アルケミスト』という短い小説があります。これ、めちゃくちゃすごい名著です。全世界でベストセラーになっている名著中の名著です。

★羊使いのサンチャゴは、彼を待つ宝が隠されているという夢を信じ、アフリカの砂漠を越えピラミッドを目指す。

様々な出会いと別れを経験し、少年は人生の知恵を学んでゆく――。

これがアルケミストのあらすじです。序盤、最初についた村で羊飼いの少年は運命を司る神の化身であるメルキゼテック王の老人として顕現した姿に出会います。

王様は少年に、運命に従うものには宇宙が味方するという真実を伝えました。

一週間前、王様はある鉱夫のもとにいたことを話します。鉱夫は５年間、ある川で全身全霊である貴石を探していました。５万個の石をしらべ、そしてあとたった１つ石を調べれば見つかるというところで、すべてを諦めようとしていました。彼はすべてを捧げて自分の運命を追求していたので、王様は彼の味方をすることにしました。

★鉱夫は５年間のみのりのない年月への苛立ちから、その石を拾い上げると投げつけた。しかし、力任せに投げたために、その石が当たった石が砕けた。すると、壊れた石の中に、世界中で最も美しいエメラルドが入っていた。

王様はこの時はエメラルドとして夢を追うものの前に顕現したというのです。

★「人は、人生の早い時期に、生まれてきた理由を知るのだよ。」

王様の話を聞いて少年は旅をする決心をしました。少年は老人から世界の真理をいくつか習い、これからの旅に向けて準備をします。
メルキゼテック王は、人は大人になっても運命を失うことは決してありえないという世界の真理を伝えます。

★「世界最大のうそって何ですか？」と、すっかり驚いて、少年は聞いた。

「それはこうじゃ、人は人生のある時点で、自分に起こってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまうということだ。それが世界最大のうそじゃよ」

人は、心を持っています。すべての人は、自分の物語の主人公です。その人が、その人自身のいのちを、うしなうということは、はじめからありえないという世界の慈悲を知るということが、その人の魂を大人にします。

★少年は人の「運命」がどういうものかわからなかった。

「おまえがいつもやりとげたいと思ってきたことだよ。誰でも若い時は自分の運命を知っているものなのだ。 　

まだ若い頃は、すべてがはっきりしていて、すべてが可能だ。

夢を見ることも、自分の人生に起こってほしいすべてのことにあこがれることも、恐れない。

ところが、時がたつうちに、不思議な力が、自分の運命を実現することは不可能だと、彼らに思い込ませ始めるのだ」

しかし《不思議な力》は、悪いものというわけではありません。この現象世界で生きるということは、ひとつの命が、運命が、心が現象世界で研鑽し具体化しながら見事な花を咲かせるということです。そこには抵抗感があり、それ上に美しい学びであり、いのちとは、それを乗り越えて咲く生きる喜びです。
イメージを、意識界にあるイメージを、その美しい実現化を、この現象界においてかたちづくるという生き方があるとき、そこでは学び、喜び、生きる実感とリアリティ、すべての色が、あなたのいのちをを彩り祝福します。

★「…おまえが誰であろうと、何をしていようと、おまえが何かを本当にやりたいと思う時は、その望みは宇宙の魂から生まれたからなのだ。

それが地球におけるおまえの使命なのだよ。

…自分の運命を実現することは、人間の唯一の責任なのだ。すべてのものは一つなんだよ。 　

おまえが何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだよ」

これが真実です。宇宙は、あなたの運命の実現を本当に応援します。あなたのすべて肯定します。この真実を認めることは、魂にとって勇気のあることです。なぜなら、それを知り認めることが、その魂が成熟し大人になるという準備だからです。「アルケミスト」では、繰り返し繰り返し、《勇気》の重要性を説いています。

★老人は話し続けた。

「結局、人は自分の運命より、他人が羊飼いやパン屋をどう思うかという方が、もっと大切になってしまうのだ」

他人の目を気にしないでください。その他人は、あなたの幸せについてまったく責任をもってくれないただの他人だということに、気付いてください。
自分の運命は、他人が与えてくれるということはありえない、という当たり前の事実を深く認識してください。そこに本当の癒しがあります。



そして、もしあなたが不幸と思える出来事に遭ってしまったら。旅の序盤そうそう、少年は泥棒に遭い全財産を失ってしまいます。

★こうしたことをつくづく考えているうちに、彼は自分のことをどろぼうに会ったあわれな犠牲者と考えるか、宝物を探し求める冒険家と考えるか、そのどちらかを選ばなくてはならないことに気がついた。

「僕は宝物を探している冒険家なんだ」と彼は自分に言った。

自分が何の運命を生きていたか、思い出してください。そこに心が、わくわくすると思います。道を、あなたの真実の道を、常に、思い出してください。

★僕はいつでも戻って羊飼いになることができる、と少年は思った。

僕は羊の世話の仕方を知っているし、それを忘れることはない。

しかし、エジプトのピラミッドに行くチャンスは二度とはないだろう。

少年はピラミッドを探す旅を始めてから予測していなかった経験を次から次へとしていきます。じつはそれこそが旅の醍醐味であり、生きることの醍醐味なのです。生きることを楽しみましょう。今を肯定しましょう。そして、必ず、自分の運命を忘れないでください。

★決心するということは、単に始まりにすぎないということだった。

決心するということは、まるで、急流に飛び込んで、その時には夢にも思わなかった場所に連れてゆかれるようなものなのだ。 　

宝物を探しにゆこうと決心した時、僕はクリスタルの店で働くことになるなんて想像もしなかったもの、と彼は思った。

そしてこのキャラバンに加わると決心したけれど、それがどこに行きつくのかは、僕にとってはまったくの未知なのだ。

未知というのは、たんにあなたの魂がまだ知らない、というだけであって、恐ろしいことではないという事実を確認しましょう。

そして、《いまこの瞬間を生きる》ということ。旅の途中で、少年は自分についてくれるらくだ使いから今を生きる心に意識を集中することを学びます。それは、大きな勇気を育みます。

★「私は食べている時は、食べることしか考えません。

もし私が行進していたら、行進することだけに集中します。

もし私が戦わなければならなかったら、その日に死んでもそれはかまいません。 　

なぜなら、私は過去にも未来にも生きていないからです。私は今だけにしか興味を持っていません。

もし常に今に心を集中していれば、幸せになれます。

砂漠には人生があり、空には星があり、部族の男たちは人間だから戦う、ということがわかるでしょう。

人生は私たちにとってパーティであり、お祭りでもあります。

なぜなら、人生は、今私たちが生きているこの瞬間だからです」

そして傷つくことを恐れるとき。少年がであった錬金術士は、少年に、真実の目で見たら心は決して傷づかないという心の事実を諭します。

★「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、おまえの心に言ってやるがよい。

夢を追求している時は、心は決して傷つかない。

それは、追求の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ」

「夢を追求する一瞬一瞬が神との出会いだ」と少年は自分の心に言った。

「僕が真剣に自分の宝物を探している時、毎日が輝いている。

それは、一瞬一瞬が宝物を見つけるという夢の一部だと知っているからだ。

本気で宝物を探している時には、僕はその途中でたくさんのものを発見した。

それは、羊飼いには不可能だと思えることに挑戦する勇気がなかったならば、決して発見することができなかったものだった」

すべてのものも、人も、例外なく運命をもっています。素直になり、本当に素直になった時、すべてのものが、あなた自身も、運命を持っていて、その運命に向かって咲く喜びそれ自身であったことを思い出すことができます。

★「地球上のすべての人にはその人を待っている宝物があります」と彼の心は言った。

「私たち人の心は、こうした宝物については、めったに語りません。

人はもはや、宝物を探しに行きたがらないからです。

私たちは子供たちにだけ、その宝物のことを話します。

そのあと、私たちは、人生をそれ自身の方向へ、それ自身の宿命へと、進んでゆかせます。

しかし不幸なことに、ごくわずかの人しか、彼らのために用意された道──彼らの運命と幸せへの道を進もうとしません。

ほとんどの人は、世界を恐ろしい場所だと思っています。

そして、そう思うことによって、世界は本当に恐ろしい場所に変わってしまうのです。 　

ですから、私たち人の心は、ますます小声でささやくようになります。

私たちは決して沈黙することはありませんが、私たちの言葉が聞こえないように望み始めるのです。

自分の心に従わないばかりに、人々が苦しむのを、私たちは見たくないからです」

そして、失敗を簡単に定義しないでください。物事に失敗なんてありません。運命は生きる道そのものですので、絶対に失敗なんていって道が断絶することなんて起こりえないんです。安心して本当に大丈夫なんです。運命は、常に続いています。

★「もし、自分の運命を生きてさえいれば、知る必要のあるすべてのことを、人は知っている。

しかし夢の実現を不可能にするものが、たった一つだけある。

それは失敗するのではないかという恐れだ」

安心してください。運命は、常にあなたと一緒にいます。